心 ―ハジマリノウタ―
『貴方は必要なの…。
我等には、貴方が必要よ…。
これで、貴方は此処に残るの…?
嗚呼…』
話の途中、声は笑った。
その笑い声と同時に、
私の瞼の裏に、映像が流れてきた。
その映像は、自分の目で見るよりも
鮮明でクリアだ。
『必要なのは我等だけでは
ないようね…?
見てみなさい…』
一つの部屋に、一人の少年と少女。
少女はベッドに寝ている。
その額にはタオルが乗せられ、
穏やかな顔で目を瞑っている。
その少女のドレスは
私の着ているものと同じだった。
そして、少女の傍らには、少年。
私を此処へ連れてきた、主様だった。
同じように穏やかな表情で
少女を見守っている。