心 ―ハジマリノウタ―
「ところで、ユアはどうだ?」
話題を逸らすジグ。
仕方の無いことなのかもしれない。
囚われているのは、あたしだけで
忘れるべきなのかもしれない。
それでもあたしは、
思い出さずにはいられない。
この、眼帯を、傷を見るたびに。
割れたような機械音が、耳に響くのだ。
「ユアは、順調に馴染んでいます。
今日は、レイやリオと
仲良くなったようです。
訓練のほうも、筋は悪くない」
「そうか。
それは、ロックに報告しておくべきだな」
老人は一度口を閉じた。
そして閉じていた目を開けた。
その瞳は暗がりにたっている私を確実に掴んでいた。
あたしは老人の目が嫌いだった。
その灰色の目は奇妙で恐ろしかった。
ユアなら、そんなことは感じないのだろう。
心が無いと、心亡き者なのだから。
「リヴィア、お前は
ユアを弟子に取れ」