心 ―ハジマリノウタ―

Determining Will





「今日はもう、訓練は止めだ。

夕御飯にしよう」




リヴィアはそう呟くと、

私を再びキッチンへ連れて行った。


今度はハンバーグのおぼんを渡される。




「もう、部屋は分かるね?

あたしは、行くところがあるから」




リヴィアはそういうと、

血の着いた練習着を擦って

去っていってしまった。


訓練所で負傷者がでたのだ。


私は何もしなかった。


できなかった?

しなかった?


自分でも分からなかった。


それでもいい。


何故なら、私は奴隷だから。


私がおぼんを持ってダイニングに入ると、

大きなテーブルは人でうまっていた。


入り口で立ったままで居ると、

聞いたことのある声が聞こえた。




「あ、姫!

眠り姫ー!!

ここ、空いてるよ!」



声の方に顔を向けると、

今朝のガントレットの少年が

こっちに向かって手招きしていた。




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