心 ―ハジマリノウタ―
空いている席はそこしか
見当たらないし、
私はおぼんをおいて、
席に着いた。
「練習着なんだ!
俺のこと、わかる?」
少年は明るく私に話しかけた。
私は頷くいて、答えた。
「はい。
今朝は案内して下さり、
ありがとうございました」
私は頭を下げた。
照れたように頭をかいたその手には、
ガントレットが光っていた。
「俺が頼まれてた仕事だしね!
俺、レイナードっていうんだ。
みんなはレイって呼んでる。
よろしく!」
少年は手を差し出した。
握手・・・?
主がよく工場に来た客としていたことだ。
私は、少年の手を握った。
そっと力を入れた手に
触れた少年の掌は温かかった。