World of Game
「で? 出し物は何に決まったわけ?」


小夜が不機嫌に聞いた。

「押し付けられたからってそんなに怒んなよ」


松山がたしなめる。


「そうだよ、そんなにツンツンしないのっ」

早苗が松山に同意する。

「早苗ぇ……、あんたあとで覚えときなよ…」

「小夜が怖い!!」

「大丈夫だって」

早苗が松山にくっつく。
クラスのみんなには言っていないが、この二人は付き合っていた。
小夜が不機嫌な理由のひとつがこれでもあった。
二人は天然のバカップルで、目の前でイチャイチャされるのが目に見えていたからだ。


「あんたも何か言いなさいよ絢杉っ!」

「そこで俺に振るなよ砺波」


絢杉は静かにコーヒーをすする。
そんな絢杉を小夜はキッと睨む。


「何っっっっっであんたはそんなに落ち着いてんの!!」

「別に俺は由宇児にそこまでの独占欲はない」

「!! ――もういいよ、あんたに助けは求めない!」

「そうしてくれ」


小夜はくっついている二人を引き剥がしにかかった。


「ああもう、あんたら二人も離れなさいよ!!!」

「「えー」」

「『えー』じゃない!!今日は話し合いに来たんでしょ!!」

「お、ようやくやる気になったな!!」

「違うからっ!」

「さあ、始めましょーーー」


そうなった途端、二人は離れてテキパキと始めた。


「話を聞けーーー!!!!」


小夜の意向は完全に無視されて話し合いは進んでいったのは、言うまでもない。



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