World of Game
「つ、疲れた……」


話し合いが終わった後、小夜はベッドに倒れこんだ。


「お疲れさん、なんか作っとくから食べろよ」


ぐったりとしている小夜をみながら佐山が言った。

「ありがと槙さん」

佐山はそう言ってくれたものの、小夜は疲れて寝込んでしまった。

4人で久しぶりにわいわいとやり、はしゃぎすぎたのだった。


「小夜、起きろ。お前に客が来てるぞ」

「はい……?」


眠い目をこすり起き上がる。

客―そういわれても全く覚えがない。
親が来るとしても何かあれば先に電話が来るだろうし、今日が何か特別な日ということもない。


制服で出て行くのも悪いので着替えてから行くと佐山に伝言を頼み、着替える。

その間にも、誰だろうと考えてみても思いつかなかった。
ただ、今朝の嫌な予感がありありと思いだされた。

時計を見る。
もうすぐ11時になろうとしている。


やはりおかしい、こんな時間に会いに来るなんてのは。
もう客足も減り、閉店時間になる時間だというのに。


「お待たせしました」

「来ましたよ、お客さん」

階段から出てきた小夜を佐山が教えた。
佐山は気をきかせ、奥にいった。


「あの、私に何のようですか?」


カウンターで座っているその客に近づいて尋ねた。
ライトが暗く顔がよく見えないがスーツ姿と見た目で男だとはわかった。

「お前が……№1073…か?」

「!!!」


小夜はそれを聞いて愕然とした。
どうして……このことを知っている??


「嘘…それは……その番号は……!!」

「十年前のお前の名前」

「!! どうして…どこでそれを…?!」


客が立ち上がった。
影に隠れていた顔が見えた。

それは、無表情の顔。夢に何度も見て、夢の中で何度も逃げようとしたあの顔。


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