World of Game
「この手紙は、私が以前に作ったゲームが採用されたから、その新作発表会に招待するって書いてある」
「スゲーじゃねえか!」
松山が驚嘆の声をあげる。
「でも、ガヴィンコーポレーションなんて聞いたことないぞ」
絢杉が言ったことに皆うなずき、松山もあ、と声を出して納得した。
「……そう、そんな会社ある分けないの。これは何年後、いやもしかすると何百年後の話なんだから」
「その話、もしかして十年前のことと関係あるのか?」
思い当たるところがあり、身を乗り出して佐山が聞いた。
小夜以外の3人は顔を見合わせお互いに肩をすくめ小夜を見る。
「……うん。この話は、そこから話さないといけないの」
「何だよ! 十年前のことって!!」
由宇児が痺れを切らして聞いた。
「小夜は十年前に誘拐されて一年間行方不明だったんだ」
佐山の言葉に3人は息を呑んだ。
「そんな…誘拐だなんて……」
「どこを探しても見つからないってかなり大騒ぎになってな、そんな中道端で倒れてるのを発見されたんだ。その一年間に何があったかは公にはされなかったけどな」
「そんなことが…」
「佐山さんはなんでそこまで知ってるんだ?」
絢杉が聞いた。
「十年前のあの町に住んでれば誰でも知っていたさ。電柱という電柱、壁という壁に5メートル間隔で当時のこいつの顔写真が載ったポスターが張ってあったんだからな。」
「そんな大事だったの?」
今度は早苗だ。
「兄や姉とかもいたんだけど、皆小さいころに病気とかで亡くなってたからお母さんが私だけはってやったの。
心配してくれるのは嬉しかったけど、学校に行けば皆に後ろ指をさされ、ひそひそ話。いじめられもした。
だから高校は地元を離れて、こっちに来たの」
「そうだったのか……」
「だけど、今回のことはその話じゃないの。もっと大きく大変な話」