World of Game
「お帰り№1073」

「№1073、遅かったじゃない。心配したのよ」

「ごめんなさい」


帰ると、小夜の父と母が小夜を迎えた。

いつもならば普通にお帰りというだけなのに、とても優しかった。

ご飯は小夜の大好物ばかり、まるで誕生日やお祝いのように


夜に寝るのも、両親ともによくもうお姉さんなんだから一人で寝なさいと言われるのに。
小夜はそれが心地よく、いつもこうだったらと思った。



小夜の名前は完全に№1073として皆に呼ばれていた。


「いってきまーす！」

朝、男に言われたことが気になって仕方なくて家を出、公園の道を辿る。

入り口の右側。
そこをコンコンとノックする。

すると、周りの景色と同じだった空気が扉をかたどった。
小夜は迷わずにドアを開けた。


「やあ、お早う」


朝早くだったのに男はすでに部屋の中にいた。

「お仕事教えて！！」

「もちろんだよ。じゃあ、こっちに来てもらえるかな？」


白い部屋に入り口以外のドアができていた。その中に二人は入る。

中はパソコンのようなテレビのようなものが多数並び、数人の子供がその画面を食い入るように眺めていた。

皆、誰一人として二人を見ない。
それどころか全く瞬きしないし画面から目を離さなかった。

「……」


小夜はその空気に圧倒されていた。


「№1073、君にもこの仕事をしてもらいたい」

「いいよ」

何も考えずに答えていた。

その目は虚ろでどこにも小夜の意志はないように見えた。



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