World of Game

壊れる日々

その日から小夜は毎日パソコンに向かい、データを見、覚え、書き写した。

一日に数十枚にも及ぶデータを小夜は完璧に書き写す上に数日前の内容さえもすべて覚えていた。
一ヶ月に一度、覚えているかのテストがあったがそれをすべて満点でクリアしていった。


この小夜にとっては簡単な仕事を始めて三ヶ月が経った。

「小夜、今日はこっちにおいで」

小夜は男によばれた。

「今日は何ですか？」

小夜は男のお気に入りとなっていたため、呼ばれるのには慣れていた。

「君の才能が上層部に気に入られてね、今日から研究所に転任になったんだ」

上層部……？ 転任？

小夜は意味がわからなかった、パソコンのデータは言葉の意味まで教えてくれなかったのだ。

「フッ、まあいい。こっちにおいで」

よくわからないまま男についていくと、今まで入ってはいけないと言われていた扉に着いた。

「此処は…立ち入り禁止ではなかったのですか？」

「そう。選ばれた人以外はね」

「選ばれた……人…」

「君も選ばれた人なんだ。だから今日から入っていいんだよ」


小夜は男の顔をジッと見つめてからドアノブを握りドアを開いた。



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