World of Game
小夜の体を耐え難い痛みが襲った。

叫び声を上げた小夜は床を転げまわる。

弥生はクリップボードに書き込みながら小夜を見ていた。

「なかなかの反応だ。お前は大分相性がよかったらしいからなしばらく痛みは続くぞ」

その言葉通り痛みはなかなか体から抜けず、特に左の二の腕が酷かった。

5分間小夜は痛みに身動きが出来ずにいた。


「はぁ…はぁ……、何を、したのっ!!」

床に倒れたまま切れる息の中弥生を問い詰めた。

「いうなれば解毒薬を飲ませてやったんだ。感謝しろ」

「やだよっ!」

うるせぇな…とつぶやきながら椅子に座った。
小夜にも座れと椅子が出されたが座らなかった。

「何が聞きたい?」

「まずあの痛みはなんなの?」

そう来たか、と言うように笑った。

「ここに連れこられる際、逆らわないようにするために奴らはある薬をうつ。

それは疑問を持たなくなり言われたことを素直にうけいれてしまうようになる。オマケにその薬は細胞と結びついて自然に抜けることがないようになっている。

それを無理やり外したのさ、体に害がないようにな」

弥生は平然と言った。

「ちょっと待って、ここに連れてこられるってどういうこと?」

「そりゃ――ってお前は何も知らないんだったな。くそ、面倒だな」

「いいから説明して。じゃないと帰らないよ」

「何時間が経った気になってんだ? お前がこの部屋に来てまだ30分も経ってないぜ」


時計を見れば、弥生の言うとおりだった。



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