World of Game
「はい、質問コーナー」

見事な棒読みで弥生が言った。
質問をはさむと時間がかかるからと一段落するまで質問を禁じられていたのだ。

「はい!」

「どうぞ」

「何であたしたちな訳? 何かすごいことやって有名になったんならわかるよ、でもなんのとりえもないただのガキンチョだよ?」

「そこは、大して関係ない。
つまり誰でもよかったってことだ。
ただ、あいつらがここに子供を連れてくるときに打つ薬、これは何も考えなくするだけじゃない。
というよりその効果は副作用と言っていい」

「副作用?」

「そうだ。この薬の本来の効果はその人間の記憶できる容量を限界まで広げることだ。
心に残ったこととかが少なければ少ないほどそれは広くなる」


ここで弥生は息を吸い込んだ。


「金持ちの子供だったりするといくら優秀でも親の力で特別な体験が出来たりする。
そうなると奴らの獲物にはなりえない。だからなんの変哲のないところにいる普通の子供のほうがいいのさ。

おまけにあの副作用だ。
こんなにいいものはないさ」

「つまり、あたしたちが選ばれた理由って単に普通だから?」

「その通り。天才なんてどこから出て来るかもわからないし、作ったほうが早い」

「そういえば、なんであんたは正気なの?」

「俺はもともと薬との相性が悪いらしくて、はじめからきかなかった」

「ふーん」


そういいながら、小夜は此処までの情報を反芻していた。

このよくわからない敵のおかげでこういう能力は5歳ながらについていた。



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