World of Game
ようやくの仕事終了時間。


「№1073、迎えにきたよ」

あの男が研究室に入ってきた。

‘何があっても顔色を変えるなよ’

弥生の言葉を思い出し、急いで顔に作り笑いを貼り付け、いつものように男についていいった。


「!?(なにこれ!?)」


秘密の扉を抜けた小夜の目の前に広がる景色は、公園からの帰り道なんかじゃなかった。
人の骨組みだけのロボットや、SFに出てくるようなロボットがたくさんいた。

いたと言うよりは、働いていた。


弥生が言っていたのはこのことだったのか、と小夜は納得したと共に思ったことを顔に出せないと言うのがつらいものであるかを思い知った。


あの夕焼けは鉄の天井に成り代わり、家々は機械が働く場となり、通行人と思っていた人々すべてがロボットだった。


小夜はここですべてを理解した。



弥生の言っていたつれてこられる、と言う意味


薬で強制的に従わせる意味



当たり前だ、こんな小さい子供が知らない場所につれてこられて働かされてホームシックを起こさないわけがない。

此処は少し前まで小夜たちが住んでいた世界とは違うのだ。

家族もいない、たった一人で生きるしかない場所なんだ。

きっと弥生がああやって頑張れたのは、一人から抜け出したかったからなんだ



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