World of Game
でも、上の奴らは比じゃないって何が?

そう思ったが、上層部の入り口のドアを目の前にしてきけずじまいとなった。


いや、ドアと思ったが、扉が大きなエレベーターだった。
音も無く開く扉が何故だか不気味に見えて小夜はつばを飲み込んだ。


弥生も押し黙り二人は無言でエレベーターに乗り込んだ。


エレベーターのあがっていく時のこの真空の空間が小夜はどうしても嫌で俯いた。


何か嫌な予感がしてならない。


やっぱりついていくなんて言うんじゃなかったな……


小夜は一人後悔した。

ふと気付くと弥生はしきりに手を開いたり握ったりを繰り返していた。

こんなとき、弥生も緊張する、それを感じた小夜はなんとなく安心していた。



エレベーターが音もなくとまった。
あの真空の感覚が、止まるときに変化するあれが開ければ着いたことさえわからなかった。

扉の外は広い空間。

左右の壁はなく厚い窓ガラスから陽光が差し込み、白く輝いた大理石の果てには重厚ないかにも威厳のある扉が待ち構えていた。


エレベーターとは対照的に着いた大理石の床は足音がよく響く。

その足音がこの広い空間の中に孤独感をおこさせた。




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