World of Game

小夜たちより年上だが、未だ10代であることは明白。

しかしその身に纏う雰囲気は人の上に立ち、従えることを当然に思わせるもので、よく言えば自信、悪く言えば傲慢という言葉がよく似合う少年だった。


「そうか、君は初めてだったな。では自己紹介をさせていただこう。

この僕が此処の最高責任者、ラスクディル・ミスキアだ。
以後よろしく」


右目を柔らかく細めて、手を差し出した。

握手なんて今までやったことが無かった小夜は差し出された手を見つめた。

弥生に小突かれ合図で‘手を出せ”とやっているやり取りを見て、ラスクディルが吹き出した。

「握手も知らないのか? 相手がこう手を差し出したら、君の手をだし握る。
握手とはそういう挨拶だよ。弥生、コレを後でよくしつけておくんだな」

「…了解」


弥生の嫌そうな声にそんなに悪いことをしたのかと小夜は青ざめた。

急いで手を差し出し、『握手』をした。
ラスクディルは軽く見下すような視線を小夜に送る。


「まぁ、初めてならしかたない。報告書は置いていけ。後で電書鳩(でんしょばと)を送る」

「わかりました。では失礼します」


二人は、慌てるように来た道を戻った。



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