World of Game
弥生は、大きな音を立ててドアを閉めた。


「お前な!! 握手も知らないのか!!」

「仕方ないじゃん! 今までそんなことする機会無かったし、知識詰め込んだときにだってなかったよ!」

「んなもん、一般常識だからに決まってんだろが!!」

「その一般常識が身につく前に連れてこられたんだがら知るわけ無いじゃん!」

「開き直るなっっ!!!」


緊張が解けた途端に饒舌になった二人は、一気にまくし立てた。

今まで待っていた仲間たちはそんな二人をぽかん、と見ていた。

ギャーギャーと騒ぐ二人を止めるものは誰もなく、そのうちに二人を待っているときにやっていたゲームなどに戻った。


「「はぁ、はぁ…」」


繰り広げていた口げんかが終わったとき、二人の息は荒くあがっていた。

コンコン

二人の論争が一段落したとき、ドアがノックされた。


「!!」

「大丈夫だよ、人じゃない」


小夜が軽く身構えたのを弥生が制した。

人じゃない、そういわれても此処には厳密に言えば人ではないものが多くいるためあまり安心はできなかったが、弥生は構い無くドアを開けた。

入ってきたのは機械製の黄色い鳥だった。
首には体に似合わぬほど大きなかごをぶら下げている。

小夜は拍子抜けし、目が点、な状態だ。

「な、なにコレ」

「電書鳩。文書をこれで運ぶんだよ」

「へ、へぇー、知らなかったな。何が書いてあるの?」


弥生はかごから書類を取り出し広げた。



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