World of Game
「――!」

「何?どうしたの?」


仲間たちも真剣な眼差しで二人を見つめている。
弥生は小夜に書類を手渡し、言った。


「奴らにお披露目するのは明日、だそうだ」

「んなっ!? 早くない?」

「いままで俺らがダメだったのだって1週間は時間あったぞ!」

「こんなの異例だ!」


一瞬の沈黙の後、一斉にまくし立てた。
まぁまぁと弥生が皆をなだめる。

「いいじゃん。逆に変な緊張がないんだぜ? やってやろうじゃねーか。あいつ等に今までの分を、一泡吹かせるんだ!」

不敵に笑う弥生。
それにつられてか、皆にも笑みがこぼれた。


「と、言うことで。お前はもう帰れ、砺波」

ビシ、いい音を出して小夜を指差す。
ガク、とズッコケそうになりながらも体制を立て直す。

「ちょ、ちょっと何でよ!? まだ準備やらなにやらあるんでしょ! あたしだってやるよ!!」

「ダメだ。お前はこれを奴に説明してセットして、っていう一番重要な仕事があるんだ。
他の事で頭をいっぱいにすんな」


小夜は弥生を睨みつけた。
弥生の瞳からは何も読み取ることはできなかったが、真摯な目で小夜を見つめていた。

「……
わかったよ
。帰ればいいんでしょ? 帰るよ!」


早足でドアまで行き、閉じる前に全員をキッ、と睨みつけてバン!とドアを閉めた。

ドアの音と、去っていく足音とは対照的にしぃん、という沈黙が流れた。

「悪く思うなよ、これはどうしてもお前に知られたらダメなんだ。

……さぁ、準備にとり駆るぜ、皆」

残された者たちは、静かに動き始めた。


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