World of Game
二階の廊下の突き当りの部屋が小夜の部屋だった。


ギイ、ときしむ音をたてて扉は開く。

「―――」


小夜は顔をしかめた。
少しずつ慣れてはきているものの、この音が嫌いだった。

部屋には机と棚、洋服箪笥にベッドと質素なものであったが、小夜には十分だった。


小夜は部屋を出、台所に向かった。
佐山は店をあまり空けることができないため、夕食は小夜が作る。
冷蔵庫を開けて食品を見、簡単でボリュームがあるものを作る。

冷凍食品などが少なく使うことがあまりないのも佐山のこだわりだった。

「槙さん、ご飯できたよ」

「わかった、すぐ行く」

夜の仕事の準備のために一旦店を閉める。

その間に夕食を食べ、すぐに仕事に取り掛かる佐山を見ていると、よく体を壊さないなと小夜は思っていた。

夜のことに関してはよく知らないが、佐山の友人がきて一緒にやっているのは知っている。


二人で一緒にご飯を食べる。
会話は少ないなりになりたつ。


片づけをしてできる限り手伝う。

店の内部は明るい雰囲気の昼とは打って変わってライトは暗めのにし、落ち着いたジャズ系統の曲が流れ、テーブルの配置がかわり、立派なバーに変わる。

開店時間に近くなると小夜はまた二階に戻り、たまっている家事をこなす。

佐山ができる限りしてくれるが、昼は昼で忙しく朝起きたとしても店の準備がある。

その負担を少しでも軽くするためにと思っての行動だった。

それが終われば部屋で勉強など。
佐山に下宿させてもらっている身、せめて成績だけでもよくしようと思っていた。


朝には朝食を作り、早苗と共に登校する。


その繰り返し。


もちろん、休みには遊びに行ったりする。
花の女子高生生活を十分に楽しんでいた。



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