World of Game

此処までは、順調に進んでいる。
しかし一度小夜の胸を覆った不安は未だ拭われない。

それどころかどんどん膨らんでいく。


「砺波、もう一度ルートを確認して――」


弥生が言いかけた時だった。


『ビーー! ビーー! ビーー! ビーー!』


部屋の中に警報音が響いた。
小夜は脳波をオペレートしていた子を振り返った。


「どうした!?」

「わかりません! ラスクディルの脳波が突然乱れだしました!!」

「嘘…?」

小夜は呆然とした。
何がいけなかったのだろうか?

制御装置のところへ走りよりオペレートしていた子を押しのけ機器を奪いとった。

目がディスプレイに釘付けになる。
確かにラスクディルのものだけが異常に乱れている。


「まさか拒絶反応!? でもどうして? 『これ』のプレイには優しい夢を見させて――」

そこまで言いかけてハッとした。

ST-Lunaはただの3Dゲームじゃなく、特別な機能がある。


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