World of Game

目を開いた。


「よかった、戻ってきたか」


そばでは弥生が大きく息を吐いた。

「ごめん、ありがとう弥生」

「ああ。全くだ」


弥生は怒っていたが、それ以上に安堵の表情を小夜に向けた。
小夜は、ラスクディルの元で見たものを思い出していた。

きっとあれらが、脳波異常の原因だったのだ。


それにあのラスクディルの顔。
きっと逆鱗に触れてしまったに違いない。

小夜はゴーグルを脱ぎ捨て立ち上がった。


「弥生、ゴメン。ヘマしたかも知れない! 脱出準備を急いで――」

何かが壊れた音が小夜の言葉を遮った。

音の出所は、ラスクディルの椅子。

「そんな、拘束具が壊されるなんて…」

小夜のそばにいた仲間が呟いた。
もう一度、バキッという音が響く。

ユラとラスクディルが立ち上がる。


「貴様ぁ…よくも……僕の記憶を!!」


振り上げた手につかまれているのは端末。
そのままラスクディルは腕を振り下ろした。


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