World of Game
小夜はとっさに床に伏せた。

ビュッ!!という音を立てて端末が小夜がいた場所に投げられた。


「逃げろ!!」


言わずもがな、弥生の言葉を認識するかしないかの刹那、小夜達は全速力でドアへ走った。

「逃げられると思うな。砺波…絶対に逃がさ無い! クククク…」


白衣を着た背中を見送りながら、ラスクディルの口が弓なりにしなった。


たいした時間稼ぎにもならないとわかりながら、出た部屋の鍵を閉めた。
走りながら弥生は後ろのほうから大声で言った。

「砺波! ルートは頭に入ってるよな!」

「うん!」


小夜も大声で返す。
一行が角を曲がったとき、先頭の子が立ち止まった。

「どうしたの?!」

変わらず大声手小夜が聞くと、その子はがたがたに震えながら前方を指差した。

そこにいたのは幹部としていた男。

もう中身が侵食されつくし、機械と化してしまった一人。

何の感情も入っていない目で真っ直ぐに小夜を見つめ、手のひらを突き出した。


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