World of Game
手のひらの真ん中は肌色をしていない。
鉄の管が埋め込まれていて、その端の口が小夜たちに向けられていた。
キュイィィン…という音を立てて、管の奥のほうから光始める。
その時、小夜の一番近くにいた子が小夜を後ろへと突き飛ばした。
既に機械化した腕の腕力は半端なく、小夜は突き当たりにいた弥生に受け止められた。
その瞬間辺りに光が満ちた。
追いついたばかりの弥生は小夜を支え前を向くと弥生は目を見張った。
「なん、だと…?」
幹部の男の手から発射されたビームを一番前にいた三人の子が盾となって後ろのメンバーを守っていた。
逆光でよくわからないが、三人の影が徐々にかき消されていく。
その時、小夜が意識を取り戻した。
壁に打ち付けられたが、幸い弥生がクッションになってくれてケガはない。
「う…?」
小夜の意識がはっきりする前に弥生と他の子二人が手を引っ張り、走り出す。
「え? 何? さっきのは?」
「いいから来い!!」
小夜は振り返ったが、後から来た子に邪魔され見えなかった。
いや、周りが見せなかった。
その三人は、死体すらも残らない塵にまで消されてしまったのだから。