World of Game

小夜たちがラスクの声を聞く少し前のこと。


暗く誰もいない部屋で大きな四角い箱が居座っていた。
小さなボタンとその近くのランプがチラチラと光っている。


此れは――ST-Lunaのメインコンピュータ。

プレイヤーがいなくとも駆動していた。

メインコンピュータからつながるパソコンの画面には文字が浮かび上がる。

―ロード完了 人工知能Luna起動開始―

―人工知能Luna起動完了 人格データ【砺波小夜】読み込み開始―


コンピュータのランプの光の点滅が早くなる。


―完了―


フッと光が消え、また柔らかく光始める。

その時、3D世界に一人の少女が降り立った。
ゆっくりと辺りを見渡してからつぶやき始めた。

「言語設定日本語。私の名は……人工知能Luna。
プレイヤー記憶ロード……完了。
修正、私の名はルーナ」

また辺りを見渡し、首をかしげた。
目を閉じて耳を澄ませる。

「声が聞こえる……此れは…タスケテ?」


更に首をかしげて手をあごに当ててしばらく考えた。

やがて、頷いていった。

「わかった」


少女は上を向き、体が光となって3D世界の空に飛んでいった。


< 78 / 104 >

この作品をシェア

pagetop