World of Game

「はぁ……はぁ、はっ!」


停電から小夜たちはずっと走り続けていた。
これで先のトラブルでロスした分も取り戻せようかというところまで走った。


しかしエレベータも使えずすべて階段で来たため、体力の限界が近づいていた。


「はぁはぁ…ちょっと…はぁ、きゅ…けい……する、ぞ」

弥生の提案に皆即座に頷いた。


座り込んだとき、小夜は異変に気がついた。

「ちょ、と……なんで?!」


一行の人数が小夜と弥生以外にはたったの二人になっていたのだ。

小夜は二番目を走っていて後ろにまで注意が行かず、減っていることに気がつかなかった。

「皆…囮になるため、別れた」

「そんな……!」


立ち上がろうとした小夜を二人の仲間がとどめる。


「抑えてください、小夜さん。今は原因はわかりませんが此処は凄い混乱状態にあります。
センサーやレーダーも使えない今は逃すことの出来ないチャンスなんです」


小夜は三人を睨みつけながら渋々座った。


しばらく沈黙が流れた。


「……そろそろ行こう」

弥生の小さな声に、静かに従った。


< 81 / 104 >

この作品をシェア

pagetop