World of Game
地下へ地下へと子供の体力で走っていくのは、かなり厳しい。
小夜たちは幾度か休憩を取りながら進んだ。
そうするうちに照明、自動ドアなど設備が少しずつながらも回復してきたのが目に見えてわかった。
その回復に焦りを感じ、重くなる体を半ば引きずるように進んでいった。
そして地下まであと少し、1Fまでたどりついたときのことだった。
「はぁ、はあ…も、ダメ……」
小夜は壁に倒れこんだ。弥生は腕を掴むも支えきれずに膝をつく。
「ダメだ、立て砺波」
小夜は力なく首を横に振る。
弥生は更に力を入れて小夜の腕を引っ張った。
「もう少し行けばこちらからロックできるエリアまで着く。
そこまで行ったら休憩にすっから、せめてそこまで……」
他二人は顔を見合わせ、頷いた。
一人は弥生を抑え、一人は小夜に背中を差し出した。
「小夜さん。僕におぶさってください」
小夜は朦朧としながらも顔をあげる。
背中を差し出す彼は苦笑しながら言った。
「乗り心地は快適とは言えないと思うけど、歩くよりは楽なはずです」
もう一人にもさあ、と促されて小夜はのろのろと仲間の子の背中に体を預けた。
「弥生さんは、大丈夫ですか?」
もう一人が聞いた。
弥生は差し出された手をパシ、とはたく。
「バカ言うな。俺はまだまだ余裕だ! ほら、グズグズしてないで行くぞ!」
一人でズンズン進む弥生に二人は嘘付け、と小さくつぶやき弥生の後を追った。