World of Game
設備復興はなかなか進まず、獲物は手のひらから零れ落ちようとしている。
そんな状況でいい機嫌になれるわけも無かった。
「ラスク様! 報告いたします!」
何だ、と言って振り返る気すら起きない。
手を振って説明を促す。
「は、順調に回復しているのは照明くらいなもので…他はほとんどが制御不能です!」
ぽかん、と口を開けて固まった。
頭を振って把握しようとする。
「なんだと…?
どういうことだ、制御不能とは!
セキュリティはどうしている?
電源を落とされたのならすぐに復興できるだろう!!」
「そ、それが…」
報告員は口ごもった。
これ以上によくない知らせがあるのか?
「落ちただけでなく、何者かにシステムをのっとられたようでこちらでの復興作業が何一つできないのです!」
「なっ…」
「もちろんこちらでも精鋭を総動員しておりますが、それを上回るガードの固さでして、回復している設備はすべて向こうの操作によるものと……」
ダン、と壁を叩いた。
やはり、協力者か…?
「そいつはどういう回復の仕方を?」
聞かなくてもある程度はわかるがな。
しかし気になるのは…
「先ほど問題の起こした砺波ら一行の脱出ルートの周りからです」
やはりな。
だが奴らのまわりから回復させてしまえばそれは居場所をこちらに教えているのと同じ。
協力者もハッキング能力はたいしたものだが考えが足りない。
ならばもう場所を突き止めるのは簡単だ。
となれば、あいつは殺したくはないがもし巻き込まれたそれは仕方が無い。
だから…
「幹部型アンドロイド全機をそのルートに向かわせろ!」
報告員が下がり、少しすると幹部型に通信が入れられた。
「亡骸を持ってくるならば、判別が出来る程度に原形をのこしておけよ」
通信が切れたと同時に各地にいた幹部型が動きだした。