World of Game
「――ってことでいいですか? 砺波さん」

「はい?」


珍しく小夜は全く聞いていなかった。

文化祭が近づく季節、実行委員を決める学級会で小夜は今朝の夢について考え事をしていたときに、学級委員である早苗に指された。


「まぁ、いいんじゃないですか?」

「では、このクラスの実行委員は砺波さんに決定〜〜♪」

「はぁ!!????」

「では次に出し物ですが……」

「……うっそ、やっちゃった……」

そんなことを言っても後の祭り、適当に流すつもりが引き受けてしまった。
周りが何を出すかで盛り上がる中、小夜は先ほどとはまったく別の理由で聞いていなかった。


「あーあ、何でこんなことしちゃったんだろう…」

放課後、下校時に小夜は頭を抱えていた。


「まあまあ、そう悲観しないで〜」


嫌がる小夜を早苗が明るく励ます。


「どうせあんたが推薦したんでしょっ!!」

「もっちろん!!」


ケロッとしている早苗をジロッと睨む。
二人はいつものようにtime cafeに向かっていた。
いつもと違うのは、二人の後方に二人の男子がいることだった。

この二人は、小夜たちのクラスの学級委員と文化祭実行委員だった。
学級委員は松山由宇児(マツヤマ ユウジ)、茶髪の短髪で無造作な髪型のため、あちこちにはねている。
髪と同じ色の瞳は明るく、子供のような印象を受ける。


実行委員は、絢杉緋翆(アヤスギ ヒスイ)。
赤銅色の髪はさらさらで、耳にかぶるくらいの長さに切られ、切れ長の瞳は深い黒色をしている。


松山と絢杉、二人は親友同士だった。



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