君に一番近い場所
あたしの治療が終わると
黒崎は自分の治療を始めた。
丸い脱脂綿がエタノールに浸けられたビンにピンセットを入れて
自分の腕に付いた傷跡を治療していた。
「ねぇ?」
「ん?」
黒崎を上から下までよく見てみるとあたし以上に傷だらけだった。
ボタンの取れかかった
襟首が伸びたワイシャツに
複数の引っ掻き傷にアザ。
どんだけ取っ組み合ったんだろ?
「なんで喧嘩したの?」
「……」
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