君に一番近い場所



あたしの治療が終わると
黒崎は自分の治療を始めた。



丸い脱脂綿がエタノールに浸けられたビンにピンセットを入れて
自分の腕に付いた傷跡を治療していた。



「ねぇ?」

「ん?」



黒崎を上から下までよく見てみるとあたし以上に傷だらけだった。



ボタンの取れかかった
襟首が伸びたワイシャツに
複数の引っ掻き傷にアザ。



どんだけ取っ組み合ったんだろ?



「なんで喧嘩したの?」

「……」



< 101 / 205 >

この作品をシェア

pagetop