君に一番近い場所



「……」

黒崎は黙ったまま
答えなかった。

「……ねぇなんで喧嘩なんてしちゃったの?」



黒崎は使い終わったコットンを
ごみ箱に捨ててやっと口を開いた。



「僕は平和主義よ?」



今度は棚にある絆創膏を取出した。



「根津殴ったじゃん」



少し痛がりながらも、
それを切れた口元に貼っていた。



「そう。平和主義だからさ……」


黒崎は言葉をまだ続ける。
それに耳を貸す。



「人殴ったのもはじめて」



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