君に一番近い場所



小さな風が通り過ぎた。



「ねぇなかの」

「……」



返事をしないで
目だけ君と合わせた。



「どうして黒崎なんかと付き合ってるの?」



「ははっ…根津の割りにはこだわるね」



「俺にだってこだわりくらいありますよ」

「そうですか?」

「そうですよ」



あたしの中の
根津のイメージは、


ガキ
ワガママ
負けず嫌い
自由人


固執するものなんて
ないと思ってた。



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