君に一番近い場所



「誰だっていいじゃん
遅刻魔サン」


遅刻魔って……
黒崎は意地悪だ。



「だってさー朝起きれないんだよ、夏休みの感じが抜けなくてさー」



黒崎はフフッと
大人っぽく笑った。

ちょっとずるい。



「……この部屋は涼しいね」


「うん」


今年から導入された冷房のお陰で、この部屋は涼しい。むしろ寒い。



今日も登校したのは3時間目で、勝手に席替えされた席を教えてもらい、何故かそれは窓際で携帯をいじる黒崎の前の席だったのだ。


「……」



黒崎は携帯と睨めっこしてて相手をしてくれない。



「……」



つまんなくなって
あたしは根津の席を探し始めた。



「さかしたー。ノート見せてー」



あ、いた。



あたしの席を一番廊下側にずらした感じか。なるほど


なんでかな?
根津の声ってさして通る声の訳じゃないんだけど、目立つんだよね。



なんでかな?



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