君に一番近い場所



目を閉じて眠っても
目を閉じて泣いても



君が彼女を好きだって
現実は変わらない。



たった一つ変わることが
あるとすれば……



「黙って利用されてやるから根津なんて忘れちまえ」



黒崎はさっきより一層強くあたしを抱き締めた。



目を閉じて
涙をこらえた



根津の匂いの中に
自分を埋めた。



黒崎の幻覚に
すべてをゆだねた。



< 86 / 205 >

この作品をシェア

pagetop