親指姫
第一、あたしの初カレは、ネットで出会いました~。
なーんて自慢できない話。
「でも、出会いを他人に求めるなら、ネットと変わんないじゃん」
「違うしっ!」
バーチャル世界か、リアル世界か。
心はどっちもリアルだけど、世間の目は――。
「でへへ」
「そんな気持ち悪い笑い声、口に出さないでよっ」
顔がユルユルの由佳里が戻ってきた。
こんな短時間で、こんなに表情が変わる。
やっぱ、恋は飽きないよね。
――ふっと、時計を見たら……えっ!
「あっ!!あと1分で1限目始まるっ!!」
「わわわっ!まだ生物の準備してない~っ」
「なら先行くからっ!!」
あたしとちーちゃんは、走って生物室に向かう。
あたしは、勉強だけは優等生。
だから、遅刻するわけにはいかないのっ!!
また退屈な1日が繰り返された。