紫陽花の咲く丘で
1
初めて会ったのはいつの事だったのだろう。
記憶にすら残らない程昔、物心の付く前のこと。
赤ん坊だった私を家族の次に抱いたのが、彼だった。
私は抱いている彼の指を、ギュッと握って離さなかったらしい。
彼は困惑しながらも、私を恐々抱いていた。
―それが私たちの出会い。
ピピピピピー!
「眸、起きないと学校に遅刻するわよー?」
目覚し時計の機械的な電子音と共に、階下から母親の声が聞こえる。
耳障りな電子音を止め、息を吐く。
学校に行くのが嫌だった。登校拒否とまではいかないが、会いたくない人がいる。
「……そんなこと言っていられないっか、・・・受験生だし!」
よっ、と掛け声をかけながら身体を起こし、制服を着て鞄を持って、下に降りていく。
「朝ご飯食べないの?」
母親の声を背中に靴を履く。
「いらない。行ってきます」
ドアを開け外にでる。太陽の日差しに目を瞑る。
庭の花が青空に向けて、一斉に顔を覗かせている。
――今日も暑くなりそうだった。
記憶にすら残らない程昔、物心の付く前のこと。
赤ん坊だった私を家族の次に抱いたのが、彼だった。
私は抱いている彼の指を、ギュッと握って離さなかったらしい。
彼は困惑しながらも、私を恐々抱いていた。
―それが私たちの出会い。
ピピピピピー!
「眸、起きないと学校に遅刻するわよー?」
目覚し時計の機械的な電子音と共に、階下から母親の声が聞こえる。
耳障りな電子音を止め、息を吐く。
学校に行くのが嫌だった。登校拒否とまではいかないが、会いたくない人がいる。
「……そんなこと言っていられないっか、・・・受験生だし!」
よっ、と掛け声をかけながら身体を起こし、制服を着て鞄を持って、下に降りていく。
「朝ご飯食べないの?」
母親の声を背中に靴を履く。
「いらない。行ってきます」
ドアを開け外にでる。太陽の日差しに目を瞑る。
庭の花が青空に向けて、一斉に顔を覗かせている。
――今日も暑くなりそうだった。