紫陽花の咲く丘で
「私、雪のお兄さん苦手だな」

「なんでよ」

「だって理数系の教師に理屈で言いくるめられたら、太刀打ち出来ないもの」

そう、アイツも同じ。理屈で言いくるめられて反論できない。
気が付いたら逃げ場がなくなっているような、
巴のように勢いや巧みな言語表現と違って、
チェスで緻密に相手の逃げ場をなくし、
追い詰めるように・・・・・・。

―苦手・息が詰まる・自分が子供だと思い知らされる―

「あ~でもそれわかるかも・・・」

ぼーっと私達の話を聞いていた巴が話に加わる。
彼女は決して理数系が苦手ではないが、
私と同じで文系の方がテストの点がいい。

「巴までそんな事言う!そりゃあさ、
私だって歳がはなれているから、お兄ちゃんは苦手だよ?
でもだからってそんなにいじめなくてもいいじゃない」

「いじめるって・・・子供じゃないんだから、ってかブラコ~ン」

隣で言い合いを始めた二人を尻目に、私は公園に目を留める。

「ねえ、ちょっと寄っていかない?」

「OK!」
「ダメ!!」

これがどっちの言葉かは言わなくてもわかるでしょ?
で、結局三人で公園内に入るのだからおもしろい。
私達が友達を続けている理由の一つかもしれないな。
とにかく二人といると楽しいの!
しかも気を使う必要がない。
ありのままの自分を見せられる相手は少ないから貴重な友人だな。

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