紫陽花の咲く丘で
「あーもうっ、二時間目始まっているよ!
お兄ちゃんの授業なのに」

雪が小走りになる。

「一時間目数学、二時間目理科。
たるい授業が終わったんだからいいじゃん」

その後を私と巴がゆったり歩く。
どのみちもう二時間目には間に合わないだろう。

「冗談じゃないよ。
担任と兄の授業をサボったんだよ?
呼び出し決定だよ」

顔だけ振り向いて、走りながら雪が言う。

「誰の授業でも、呼び出しは免れないって」

「どうでもいいけど、お前とろいんだから後ろ向いているとこけるぞ」

巴が言い終わる前に雪が曲がり角に差し掛かる。
そして曲がり角からでてきた人とぶつかる。

「きゃあっ!」

雪が後ろにしりもちをつく。

「だーから言っただろうが・・って・・・・・・」

巴の口がふさがる。
ある一点を見据えて動かない。
私も動きが止まった。

なぜなら・・・

雪がぶつかった人が私達の担任だったからだ。


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