紫陽花の咲く丘で
「ほら」
隣を歩いている彼が急に立ち止まる。
彼が指した方向には、
「紫陽花?」
庭の塀から顔を出している、青と紫色の花。
「眸は紫陽花好きだっただろ?」
子供のころによく行った川原にたくさん咲いていた。
紫陽花が見たくて、よくこの時期は連れていってもらった。
「まだ咲いているかな、あそこの川原」
「・・・ごめんなさい、心配かけて」
心から、私はそう呟いた。
彼は私の頭に手を乗せて、ポンポンと軽く叩いた。
もういいよ、というように。
彼と私は幼馴染みだ。
歳の離れたその幼馴染みは、
よく私の相手をしてくれて、
小さいころは『優にぃ・優にぃ』と、よく後を追っかけた。
彼はそんな私を、優しく抱きしめ、一緒に遊んでくれた。
彼が私の全てだった。
同じ歳の友達と遊ぶよりも、彼と一緒に居たかった。
彼が私に全てを教えてくれた。
言葉も、
勉強も、
花の名前も、
善悪も
・・・そして人を好きになるということも。
いつ頃だろう、彼がただの『お兄ちゃん』じゃなくなったのは。
「ねぇ、今度・・・」
私は地面を見ながら、隣の彼に声を掛ける。
「機会があったら、またあの川原に行こうな」
彼の言葉に、はじかれたように顔を上げた。
彼は私を見て、微笑んでいた。
「うん!」
私は彼の言葉に、満面の笑みで頷いた。
隣を歩いている彼が急に立ち止まる。
彼が指した方向には、
「紫陽花?」
庭の塀から顔を出している、青と紫色の花。
「眸は紫陽花好きだっただろ?」
子供のころによく行った川原にたくさん咲いていた。
紫陽花が見たくて、よくこの時期は連れていってもらった。
「まだ咲いているかな、あそこの川原」
「・・・ごめんなさい、心配かけて」
心から、私はそう呟いた。
彼は私の頭に手を乗せて、ポンポンと軽く叩いた。
もういいよ、というように。
彼と私は幼馴染みだ。
歳の離れたその幼馴染みは、
よく私の相手をしてくれて、
小さいころは『優にぃ・優にぃ』と、よく後を追っかけた。
彼はそんな私を、優しく抱きしめ、一緒に遊んでくれた。
彼が私の全てだった。
同じ歳の友達と遊ぶよりも、彼と一緒に居たかった。
彼が私に全てを教えてくれた。
言葉も、
勉強も、
花の名前も、
善悪も
・・・そして人を好きになるということも。
いつ頃だろう、彼がただの『お兄ちゃん』じゃなくなったのは。
「ねぇ、今度・・・」
私は地面を見ながら、隣の彼に声を掛ける。
「機会があったら、またあの川原に行こうな」
彼の言葉に、はじかれたように顔を上げた。
彼は私を見て、微笑んでいた。
「うん!」
私は彼の言葉に、満面の笑みで頷いた。