pm13:00
「いいからさっさと片付けるぞ!」
顔を真っ赤にしたそいつは、俺の手から箱を奪い取り、乱暴にフタを開けて箸と一緒に差し出した。
いい匂いがそこから溢れる。
だしまきたまご、ほうれん草とコーンの炒めもの、ミートボール…。
「ミートボール、作れるようになったのか」
そう小さく笑った俺に
そいつは静かに首を振った。
「…いや。まだ完璧ではないんだ。これでも頑張ったんだが、味が」
「―いいよ。だって俺の為に作ってきてくれたんだろう?」
昨日、俺が我が儘を言ったから。
しょげたままのそいつの顔を覗き込み、笑いかける。
「ありがとう。すみれ」
「−−っ…その名前で呼ぶなあぁ!」
二人っきりの屋上で、ソイツ−安藤すみれの声が響いた。