pm13:00
広い中庭を、声のするほうへと全速力で走った。
やがて、木の枝の向こう、見慣れた華奢な背中を見つけて。

「安藤ッ!!」

そう、名前を呼んだ。



「…七澤!?なんでお前…!」

長い髪を揺らし安藤が振り返る。
腕にも顔にも、無数の傷をつけた痛々しいその姿に、顔をゆがめる。

その先には、背の高い三人の男。
相手もかなりの傷を負っているようだった。

そのうちの一人が、ニヤついた顔で安藤の傍に近寄ってきて、髪を鷲掴みにし、安藤の顔を無理矢理自分のほうに向かせた。

「―ッ!」

「よかったなあ、彼氏が助けにきてくれて」

「…そんなんじゃない!!」

安藤がそう言ったのに、男は目を細め口端を上げると、俺のほうに視線を向けてくる。

「まあそれもそうだよなあ、こんな女。あんたも生徒会長って仕事の一貫だろ?」



―…それが





俺の理性を、ぶっ飛ばした。




< 72 / 88 >

この作品をシェア

pagetop