pm13:00




――――――


肩を並べて
黄金色に染まる通学路を歩いた。

「…料理、封印していたのは何でだ?」

思い切ってそうきいてみると、安藤は目を見開いて、父が言ったんだな、とふくれっつらになり返してきた。

「…料理をすると、料理上手だった母を思い出すからだ」

まあ、私の料理の腕が壊滅的だということもあるが―そう言って、微笑う。


胸が苦しくなって、自分の、ただの思いつきの提案にため息をついた。


「…悪かった」

そう言うと、安藤は小さく首を振って、照れたように頭を掻いた。


「いや。七澤に弁当の話をされたとき、ある意味これはチャンスだと思ったんだ。…いつまでも、母の死から逃げているばかりだったから。


こうしてひとつひとつ克服することが、きっと大事なんだな。



だからむしろ、感謝しているんだ」



眩しい笑顔を見せて、そう言ってくる。




…胸が、くすぐったかった。
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