キャンパスで 手をつないで
★★★★★★
美花が初めて、その女の子を見た時、柔らかな線で描いた、少女漫画に出て来る、女の子みたいだと思った。
美人じゃないけど、とても、かわいかった。
四月、大学では、新入生のサークル勧誘が、盛んに行われていた。
三年生で、幹事学年の美花は、仲間と一緒に、チラシを配るのに、必死だった。
「奇術サークルの、パーティー・KINGでーす!
「十二号館で、説明会と、ミニステージやってまーす。」
新入生より、在校生で、賑わうキャンパス。
美花は、同級生の山村直哉が、女の子を連れているのに会った。
それが、白井ゆりあだった。
「新入生だよ。手品とか奇術に、興味があるんだって。これから、部室に連れて行こうと思ってさ。」
かわいい女の子を、連れているせいか、直哉の顔が、ゆるんでいた。
「よろしくね。楽しいサークルよ。新歓コンパも、出てね。」
美花の言葉に、新入生は、黙って、頭を下げただけだった。
一年生か……若いよね。
美花は、五月が誕生日。
もうすぐ、21歳。
あの子は、18歳かー
急に、自分の年が、気になった。
今、美花の付き合っているのは、サークルの後輩。
年下の彼氏だ。