Sweetなキミへ
「え、拓哉また直帰?」


高校生に直帰も何もあるのかよ……と思いながら「あぁ、帰る」とカバンを持ち上げる


「お前さ~、1年の時からずっと聞いてるけど、運動神経良いのに何で部活しないわけ?」

「それはお前が写真撮りに来るからだよ」


そう誠に言って、俺は手をひらひらと振りながら教室を後にした


俺には1つだけ秘密がある

それは――――


「拓哉、お帰り~」


カランカランと良い音が鳴り、扉を開けると、そこには笑顔の姉貴の姿

その言葉と共に、俺の鼻腔をくすぐるのは甘い香り

聞こえるのは女性客の声だ

ここが俺の家

俺の家の1階

そう、俺の家の1階はケーキ屋なのだ……


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