真夜中の向日葵
序章
君はいつも悲しい目をして、お祭り騒ぎの国道を見つめていた。
ぼんやりと、心ここにあらずという顔をして、アーケードの柵に座っていた。
だけど、赤いスポーツカーが通ると、ハッとした顔で柵から降りる。
そして、真剣な眼差しで運転席を見ていた。
スポーツカーが走り去ると、必ず深いため息をついて、また悲しい目をして国道を見ていた。
車のライトだけが眩い真夜中の国道。
そこにいる君にだけひとすじの光が差したように、僕の目には君しか映らなかった。
誰かを探している。
赤いスポーツカーの乗っている誰かを。
君の様子を見ていれば、一目瞭然だ。
いつもいつも悲しい目をした君の笑顔を、僕は見たいんだ。