真夜中の向日葵
第6章―遼太郎―
・偶然・
柚羽さんを信じて、その気持ちを尊重しようと、僕はあれ以来、柚羽さんのアパートを訪ねるのをやめた。
また受験勉強に取り組む日々を再開させた。
「あーあー、頭ん中、数学の公式がグルグル回ってるぜ」
「オレは英単語……」
彼女もちの幸喜と久しぶりに一緒に帰る。
今日は彼女が家の用事で早く帰らないといけないとかで、幸喜の方から「一緒に帰ろう」と誘ってきた。
「あと半年の辛抱とはいえキツイよなぁ」
「だよなぁ」
「あ、ちょっと寄っていいか?」
通学路の途中にあるコンビニの前で幸喜が立ち止まる。
「今日、発売日なんだよ」
今日は幸喜が毎週欠かさず読んでいる週刊マンガの発売日だった。