真夜中の向日葵

お金をちょうど渡したことだし、店を出ようとした僕を店員が呼び止める。



「すみません、125円です」

「えっ?」



よく見ると、店員の手のひらには115円しかなかった。

勘違いしていた自分が恥ずかしくなって、僕は10円玉を慌てて出してカウンターに置いた。



「……あれ?あんた……」



もう用は済んだと、今度こそ店を出ようとした僕を店員がまた呼び止める。


次はなんだよ。

足りなかった10円はちゃんと置いたぞ?


怪訝そうな顔をして振り返ると、店員はじっと僕の顔を見た。



「……あの、なにか……」

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