真夜中の向日葵
僕と兄ちゃんが帰った後に「どうしたんっすかー?」なんてノリで、ユウヤさんに群がって話を聞いたのだろう。
「晶ー?」
なかなか店から出て来ない僕に痺れを切らした幸喜が、入り口のドアから呼ぶ。
「あー、ごめん。すぐ行く」
僕はそう言って、男に「それじゃ」と言って頭を下げた。
ドアに向かって歩き出した僕を、男が「おい、坊主」と呼び止めた。
まだ何かあるのか?
怪訝そうに振り返った僕に男は言う。
「もう族抜けちまったけどよ、その人のイトコってヤツがT町のラーメン屋でバイトしてっぞ?」
「………えっ?」
思いもしない、情報だった。
僕はレジまでの短い距離を猛ダッシュし、カウンターにしがみついた。
「どこのラーメン屋!?その人の名前は!?」