真夜中の向日葵
「付いて来いよ」
幸喜はそれでもなお、目的を明かさない。
笑いながら僕の肩に腕を回すと、黙々と国道の方へと歩いて行った。
国道に近づくにつれ、何やら賑やかそうな音が聞こえてくる。
祭りでもやってるのかと思ったけれど、そんな話は聞かなかった。
「これだよ、これ!」
「……うわっ…」
そして。
国道に足を踏み入れると、そこはまるで、別世界だった。
マフラーの爆音を響かせながら走り去るスポーツカー。
ドレスアップした黒塗りの高そうな車。
アーケードにはその車を見学するためだけに来ている若者。
僕たちもその部類に入っていて、そういう連中は、幸喜いわく『ギャラリー』と呼ばれているそうだ。
アーケードにいるのはギャラリーだけじゃない。
閉店したデパート前では、ヒップホップを大音量で流しながらスケボーをしている連中がいた。