真夜中の向日葵
―――コンコンコン…コンコンコン…
僕は息を切らして、柚羽さんの部屋のドアをしつこいくらいにノックする。
ドアは開かれない。
そして、カギがちゃんとかかっていた。
それでも僕は、きっと柚羽さんが笑顔で迎えてくれると、あきらめずにノックを続けた。
「柚羽さん!…柚羽さん!!」
僕の声と、ドアをノックする音が、アパートの住人に迷惑をかけていたことにようやく気付く。
柚羽さんの隣の部屋の住人が出てきた。
あの日、僕を怪訝そうに見ていた男だ。
「……おまえ、この前も来てたよな?」
あの日と同じ表情で僕に話しかけてくる。
「何も聞いてねぇのか?その部屋の子、ベランダから落ちて死んだんだぜ?」