真夜中の向日葵

この男も、遼太郎さんと同じことを言う。



「それ以来、誰も住んでねぇよ?空室だよ、そこは」



ひょっとして、この男、遼太郎さんの友達で、2人してグルになって僕を騙しているんじゃないのか?


僕は、男に軽く一礼すると、アパートの階段を走るようにして下りた。



―――国道……。

きっと柚羽さんは国道にいる。

太陽が落ちて、無数の星たちが夜空に顔を出している。

国道に行くには、いつもより時間が早い。



だけど。

柚羽さんはきっと、国道にいるという自信があった。


休むこともせず、僕はひたすら走った。

頬を伝うのが、汗なのか、涙なのかも分からないほどになっていた。

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