真夜中の向日葵

国道に着くと、いつもの光景を見るにはまだ時間が早かった。

並び立つお店はまだ開いていたし、仕事帰りのサラリーマンが家を目指して帰宅の途についている。


僕は、柚羽さんがいつもいる場所に立った。

あたりを見渡すけれど、柚羽さんの姿はなかった。


やっぱり、遼太郎さんや、隣の男が言ったことは本当だったのかな。


そんな絶望感がじわじわとこみ上げてきた。


国道に行けば、いつもそこには柚羽さんの姿があった。

それなのに、今日は、いない―――。



「……晶くん?」



脱力感で、その場に座り込んだ僕に呼びかける声。

忘れるはずがない。


柚羽さんの、声……。

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