真夜中の向日葵

ずっと握り締めていた指輪を柚羽さんに渡す。

柚羽さんは首を傾げながら指輪を受け取る。



「内側、見てよ」

「……?あたしの名前…?」



そう呟いた後、柚羽さんは「あっ」と小さな声を上げた。



「1005……。10月5日!永輝と初めて会った日……」



そうか。

名前の後の4桁の数字にはそんな意味があったんだ。


……死んでるっていうけど、柚羽さん、ちゃんと指輪を握り締めてるぞ?

やっぱり僕は騙されてたんだよ。



「ね、これ、どうしたの?」



柚羽さんが興奮気味に僕に聞いてくる。

< 141 / 169 >

この作品をシェア

pagetop